とんかつ茶づけ

スタート

孤独のグルメWaterfront版こと、『自己満のグルメ』を今回スタートさせます。以下がこの企画のルール。

  • 対象は自分一人で食べたことを前提とするが、特例も気分次第で許す
  • お店は基本的に紹介しない
  • 下品にならない程度に孤独のグルメネタを織り込む
  • 孤独のグルメで取り上げられたものは対象としない

まずはこれくらいか。正直なところ、好き勝手にやるだけ。
自分の基本スペックは以下の通り。

  • 酒は適度に飲める*1
  • 好き嫌いはかなり減ったがそれでも食べれないものはまだある
  • 食べる量は多くもなく少なくもなく。ただ、多いことは決してない。

とんかつ茶づけ

この日は昼前に起きたが、まともに食べたものと言えばおにぎり1個ぐらい。15時ぐらいからおなかがペコちゃんでとにかく何か食べたくてしょうがなかった。16時過ぎに秋葉原駅に着き、標的に定めていたとんかつ茶づけを食べるべく、秋葉原UDXに向かうと東北大学の出し物にホイホイ入ってしまった。ロケットのエンジン開発、特に燃料供給の話をワンツーマンで聞きながらも頭はとんかつ茶づけしかなかった。

時間は17時前。とんかつ茶づけの店は開いているだろうかと不安になりながら、エスカレータに乗ると降りたところに「以下の店舗は営業中でございます。」という立て看板を見つけて一安心する。通勤さながらのいつもの早足でいざ店に向かう。店頭のメニューを見つめて、記念すべき自己満のグルメ第1弾の標的をどうするか考える。座った後で店員を呼ぶのは面倒だから、出来るだけ店に入る前に食べるものは決めておきたい。大きい声が出にくいのでなおさらだ。このコンプレックスは死ぬまで治らないだろう。
店に入ると男女のペアが2組座っているだけ。こんな中途半端な時間にしては4人も客がいたことにビックリするしかない。カウンターを暗に勧められたものの、荷物もあるので堂々とテーブルにつく。店員はすぐに水とおてふきを持ってきたので、そのタイミングで注文した。

しばらくすると、とんかつ茶づけがその姿を現した。といっても、まだその姿は普通のトンカツだ。普段と違うといえば、トンカツの上にキャベツが乗っていることぐらいだろう。それでも店員はこれがとんかつ茶づけである証拠を僕に残してくれた。「お茶は後でいいですか?」
とんかつ茶づけが来るのを待っている間、メニューに目を通していると標準的な食べ方が3つ載っていた。適度にトンカツを食べてから、お茶づけを完成させる「正統派」。トンカツを普通に食べきって、後で普通のお茶づけを楽しむ「和食派」。最初からトンカツ茶づけを完成させるという大胆な食事を堪能する「豪快」。←なぜかこれだけ「派」が入っていないことが気になったが。とんかつ茶づけが来る前にここは正当派だろうと即決。初めて来た店で正当派に従うのはセオリーというか、ベンチマークをする上では常識のはずだ。
店員に「後でいいです」と告げ、いざ、茶づけになる前のとんかつ茶づけに向かう。割箸を折り、味噌汁に口を付け、漬け物にいくらか手を伸ばしてからようやくトンカツに手を伸ばす。なるほど、メニューなどに書いてあったとおりにソースの味はしない。ベースは醤油だ。キャベツは何か味がしみ付けてある。しかしまあ自分の味覚では何が染みこんでいるのかは判断がつかず。しかしこれならお茶づけにしても無理はなさそうだ。さすが老舗の店が放つ料理だけある。
黙々と食べ続けるが、とにかく頭の中で考えていたのは配分である。キャベツはどれくらいがトンカツと調和のとれた量になるか、そもそもトンカツはどれくらいの量が適正か、いや、ご飯はどのくらい残せばお茶づけとして適度な量となるか、はたまた、漬け物はどの程度が要求されるのか。そして、その量にするには今からどの配分でご飯と消費していくのか。まさに戦いである。今、とんかつ茶づけと懸命に戦っている僕がいたのである。
これぐらいだ、というところで店員を呼ぶタイミングを逸したので、ケータイを触っていると店員が気を利かせて急須に入ったお茶を持ってきてくれた。客が少ないとこういうのがありがたい。持ってきてくれたと同時にお茶碗を指さしながらご飯のお代わりを頼んだ。正確には少しご飯が残っていたが、自分の胃の許容量を考えると食べきった上でのお代わりはやや危なかった。少し待つとご飯を持ってきてくれた。よい加減で白ご飯を食べて、適切な形に整える。これでとんかつ茶づけを迎える準備は万端だ。

まずは主役であるトンカツをご飯に載せていく。自分でも何をやっているのか訳が分からなくなってくる。次にキャベツを載せる。やはり見込んでいた量に間違いはなかった。キャベツは実に適度な量だ。一人でほくそ笑む。それから急須に入ったお茶を注ぐ。が、ここで小さな判断ミス。ちょっとかけ過ぎた。ご飯が完全に浸る状態…あまりよろしくない。それから梅干しを浸すべきかどうか迷ったが、結局浸さずに食べることで決定し、わさびを溶かす。
おそるおそるとんかつ茶づけを食べるが、違和感は無い。まずいという単語とは無縁だ。出汁を飲んでみる。意外とあっさりしてる。むしろお茶の味すらしないぐらいだ。これは完全に予想外…もっとくどい味になるかと思った。お茶をかけすぎたのはくどいかも、というのを心配しての後悔だったが、これなら大丈夫だ。

ごちそうさまでした。
最後に余ってしまった、急須に入ったお茶を普通に飲んでみたが、まさに緑茶。本当にトンカツにかけたものと同じとは思えない。そういえばよくよく考えると、緑茶でお茶づけって家でしたことないからなあ。決まって玄米茶だったので。いつもの自分の中でのお茶づけがかなり固定化してたせいで、緑茶を使ったということだけで不思議な食べ物に思えたのかもしれない。
それにしてもラストのおかわり…あれが効いたな。

*1:かなり酒に強いとの評価もあるが、当人はあくまで上の下ぐらいの認識。